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大阪地方裁判所 昭和32年(ワ)1858号 判決 1957年12月11日

原告

右代表者

法務大臣 唐沢俊樹

右指定代理人検事

麻植福雄

法務事務官 原矢八

大蔵事務官 横山仲記

大蔵事務官 矢野義彦

大阪市西区九条通一丁目八百五十二番地

被告

株式会社 丹頂

右代表者

代表取締役 浜名福造

右訴訟代理人弁護士

河原正

右当事者間の昭和三十二年(ワ)第一八五八号差押債権等請求事件につき、当裁判所は昭和三十二年十二月二日に終結した口頭弁論に基いて次のように判決する。

主文

被告は原告に対し金五拾参万六千拾円及びこれに対する昭和三十二年四月二十八日から右完済に至るまで年五分の割合による金員の支払をせよ。

訴訟費用は被告の負担とする。

この判決は担保を供せずして仮執行ができる。

事実

原告指定代理人は主文第一、二項同旨の判決並びに仮執行の宣言を求め、その請求の原因として、

一、原告国(所管西税務署長)は訴外浜名甚三に対し昭和三十一年九月二十八日現在において、すでに納期の経過した昭和三十年分個人再評価税、同三十一年分申告所得税につき本税、無申告加算税、利子税及び延滞加算税合計金五十三万六千十円の租税債権を有し、他方右訴外浜名甚三は被告会社に対し昭和二十八年三月中に売渡した土地建物の代金等合計金二百八十四万百円の債権を有していた。

二、そこで所管西税務署長は右訴外浜名甚三に対する前記国税の滞納処分として昭和三十一年九月二十八日国税徴収法第二十三条の一及び同法施行規則第十条の規定に基き右代金債権等二百八十四万百円を差押え同日その旨を被告会社に通知するとともに同年十月十日までにこれが支払をなすよう請求しその通知は翌二十九日被告会社に到達した。それに被告会社はその支払をなさない。

三、よつて原告国は被告会社に対し本件差押債権のうち前記滞納税額の限度である金五十三万六千十円及びこれに対する支払命令送達の翌日である昭和三十二年四月二十八日から右完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

ため本訴に及んだと述べた。

被告訴訟代理人は「請求棄却」の判決を求め、答弁として、原告主張事実はすべてこれを認めるが被告は目下手許不如意のため一時の請求に応ずることはできない、と述べた。

理由

原告が主張する請求原因事実はすべて当事者間に争いがない。

被告は目下手許不如意のため一時の請求に応ずることができないと言つて抗争するけれどもそのようなことでは原告の本訴請求を拒否するに足る正当な事由とはならないから被告の右抗弁は採用できない。

よつて原告の請求を正当として認容し民事訴訟法第八十九条第百九十六条を適用し主文のとおり判決する。

(裁判官 藤井政治)

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